市川市真間山にある弘法寺(ぐほうじ)に、
樹齢400年の、しだれ桜がある。
その名を「伏姫桜」という。
その山門に続く階段は、短いが非常に険しい。
日頃から運動不足である私にとってはかなり過酷で、
登り終えると息が上がり、膝が笑う。
そういえば、神社仏閣にはこのような階段が多い。
神仏に会い、祈りを得るために、
やはりある種の苦難が必要だったということだろうか?
しかし、ここには緩やかな迂回路もあるので、どうかご心配なく。
神仏も、太古よりは寛大らしい。
さて、桜の名前となった「伏姫」とは?
滝沢馬琴作の、「南総里見八犬伝」の伏姫である。
ご存知のように里見八犬伝には、八つの珠が出てくる。
その珠の文字は、「仁義礼智忠信孝悌」
どの珠も、優れた人格者に必要な資質だと思う。
では、もしも今伏姫が現れ、どれかひとつをあなたに与えようと言われたら?
私は、何を選ぶだろう?
その答えは、「信」である。
人によって選ぶ珠は様々だろうが、私は今、
「信じる」という気持ちを、何より大事にしたいと思っている。
遠くの友を信じる。
肉親の愛情を信じる。
自分の中の可能性を信じる。
よりよい未来を信じる。
信じることに、エネルギーはいらない。
ただ、想えばいい。
この、真間山に咲く「伏姫桜」
この桜が、明日も咲き続けることを信じる。
そして、
来年も、再来年も、その先もずっと。
変わらずに美しく咲き誇ることを信じる。
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